扶養義務者から(父母や祖父母)から「生活費」や「教育費」の贈与を受けた場合
扶養義務者が、生活費や教育費を援助するためにお金を贈与した場合には、贈与税がかかりません。
扶養義務者とは下記の者をいいます。
①配偶者
②直系血族、及び兄弟姉妹
③家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等の親族
④三親等内の親族で生計を一にする者
祖父母と孫が同居しているかにかかわらず、祖父母は孫の扶養義務者になるので、孫の医学部の入学金や学費の必要資金として何千万円支払ったとしても贈与税はかかりません。
ただ、その資金を入学金や学費として使わずに貯蓄した場合は贈与税の対象となります。
また、数年間分の生活費や教育費を一括して贈与を受けた場合は贈与税の課税対象となりますので、生活費や教育費として必要な都度、贈与をする必要がございます。
孫のために教育資金として一括贈与を行いたい場合は、教育資金の一括贈与非課税制度の特例を利用すると、一括贈与を行っても1,500万円(学校以外に支払われる金銭は500万円)まで非課税となります。
結婚20年以上の配偶者に住宅を贈与する場合(贈与税の配偶者控除)
結婚してから20年以上の夫婦であれば、同一の配偶者に一生に1度だけ、現在の住宅または住宅を取得するためのお金を贈与した場合には、2,000万円まで無税で贈与できます。
これを「贈与税の配偶者控除」といいます。
基礎控除額もあわせると2,110万円まで無税で贈与できることになります。
土地だけを贈与することも建物だけを贈与することができますし、共有持分(持分の3分の1など)として贈与することもできます。
また、原則として、相続開始の3年以内に贈与を行った場合は、相続財産に加算されますが、「贈与税の配偶者控除」は相続開始の3年以内に贈与しても例外的に相続財産に加算されません。
贈与税も相続税もまったく課税されずに配偶者に贈与できるので節税対策としてはかなり有効です。
土地の価格を一定と仮定すると建物の固定資産税評価額は年々減少していくので土地の割合を増やした方が節税対策になります。
ただ、何らかの理由でその建物と土地を譲渡する可能性がある場合は、建物の一部(例えば、持分10分の1の割合など)を含めて贈与した方が節税対策として有効です。
居住用不動産を売却したときに譲渡所得の3,000万円の特別控除がありますが、この特例を適用するためには建物を所有している必要があります。
土地だけを妻に贈与し、夫の生前に土地と建物を売却した場合は、夫のみしか3,000万円の特別控除が適用できません。
妻に建物の一部を贈与していた場合は、妻も3,000万円の特別控除を適用できるので、節税対策としては有効です。
(参考)「贈与税の配偶者控除」を適用するための要件は下記の通りとなります。
①婚姻期間(戸籍に入っている期間)が20年以上
②居住用不動産又は居住用不動産を取得する金銭であること。
③贈与された配偶者が翌3月15日までに居住していること。
④贈与税がかからない場合でも、申告書を税務署に提出すること
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