生前に自宅(建物)をリフォーム!相続税評価額は?
相続税では、自宅家屋の評価額は原則として、相続発生年度の固定資産税評価額(固定資産税評価額×1.0)で評価することになり、市町村から送付される固定資産税の納税通知書や固定資産税評価証明書に記載している評価額で評価することになります。
では、生前に被相続人が自宅をリフォームした場合も固定資産税評価額で評価してもよいのでしょうか。
結論から申し上げますと、リフォームや増改築した部分が固定資産税評価額に反映されている場合は固定資産税評価額で問題ございませんが、反映されていない場合は、リフォームや増改築部分を加算する必要があります。
リフォームや増改築部分の加算については、「沖縄県 家屋の固定資産税評価額に乗ずる倍率」の(注)にも記載がありますし、国税庁の「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」(質疑応答)にも記載されております。
役所は、3年に1度、航空写真等で固定資産の実地調査を行っておりますので、
増改築等が明らかなものについては固定資産税評価額が改訂されることがあります。ただ、増築していないリフォームの場合は航空写真等で把握しきれないことから、固定資産税評価額が改訂されていないことが多いです。
生前にリフォームが行われた場合どのように評価するの?
原則としては、「リフォームした家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額」で評価することになりますが、状況の類似した付近の家屋がない場合には下記方法が認められております。状況の類似した付近の家屋が不明な場合がほとんどですので、実務上、下記方法で評価することになります。
リフォーム前の家屋の固定資産税評価額+(リフォーム費用―償却費相当額)×70%
償却費相当額:リフォーム費用×90%×経過年数(※1)/耐用年数(※2)
(※1)リフォームの時から亡くなった日までの年数で1年未満の端数は切り上げます。
(※2)減価償却資産の耐用年数等に関する省令による耐用年数で計算します。
どの程度のリフォームが「増改築等」に該当し70%加算が必要なの?
どの程度のリフォームが「増改築等」に該当するかについて定義や例示はありませんが、
増築した場合など物理的に付加した場合やリノベーション(耐用年数を延ばしたり、資産価値を高めるリフォーム、間取りの変更、新たな機能や価値を付け加える改装工事)が増改築にあたると考えられます。
通常の維持管理や原状回復工事は「増改築等」には該当せず、70%加算は必要ないと考えられます。
生前に自宅をリフォームしている場合は、気を付けて相続税の評価を行ってください。
(参考)